鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
ま、去年の冬、瀬田が高校2年生にして就職と結婚を決めている、と聞いた時には、将来を見据えた年下に「高校3年の冬なのに何も決めてない俺って……」って焦ったものだけど。
瀬田が特殊なんだ、人それぞれだしな、うん。

この春からは、瀬田の言うようにもう一つバイトを入れた。
同じことだけしてるより、違うこともしたほうが夢が見つかるかな? と思ったからだ。
ちなみに出会いの場も増えて、俺にも彼女できるかも、なんて邪念も込みだ。

「たこっちぅいいな~」

「美空、たこっちぅはいいから。
もう、行こう?」

じゃ、先輩、また明日!
言いながら瀬田は彼女の手を取って行ってしまった。
振り返った彼女がぺこりと頭を下げて、それから瀬田と顔を見合わせて微笑み合っていた。
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