鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「あんた極度に鈍いもんね。
人の気持ちどころか運動も極度に鈍くってさ、わたしも美空の出番が心配よ」

美空はわたしの言葉にむぅっと頬を膨らませる。

「ちょっとありさ、鈍い鈍いってそんなに言うことなくない?!
あたしそんなに鈍くないよっ!

……まぁ、運動は苦手だけど……」

苦手、で済むレベルかしら?
本人は相変わらず分かっていないようだけれど。

「で? 苦手なりに何の競技に出るの?」

わたしは美空に尋ねながら、ふと去年のことを思い出していた。
確か去年は……。
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