鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「瀬田君」

「なに?」

瀬田君も交えて3人で歩く。
ぷっと頬を膨らませたまま前をずんずん歩く美空の後ろを、わたしは瀬田君と並んで歩いていた。

「タイミング良かったわね、さっき助けるとき」

「ああ。少し後ろを歩いていたら立花が見えたから。

話しかけようと急いで近づいたら、転びそうになってたから。
反射的に助けて抱き寄せた」

「そ、そう……」

助けたは分かる、抱き寄せる必要が分からない。

「なぁ鈴木。
俺は、立花が大事で好きで仕方ない。
鈍いから今は気づいてくれないけど、そのうち俺の気持ちに気づいて、立花も好きになってくれるって信じてる」

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