protect you〜守るべきもの〜



「栗原君、帰るのー?」


「……あぁ」


「まだ朝だよ?」


「いいだろ、別に」


「立ち止まってたけど、行くとこなくて困ってたりする?」


「…そんなんじゃねぇよ」



何だ、コイツ。


妙にカンが鋭いな……



「もし困ってるなら、僕にいい案があるけど」


「……いらねぇし」


「あ、困ってたんだ?」



・・・げ。

口が滑った。


それをいいことに、榊真浩はニヤリとして俺の前にまわった。



「誰にも見つからない、いい場所があるよ?」


「……」


「ねーえー、聞いてる?」


「うっせぇ。お前一人で行けよ」


「えー。栗原君が居た方が楽しいもん」


「俺は楽しくない。どけ」



鞄を持っていない左手で、榊真浩をどけようとすると。



< 15 / 195 >

この作品をシェア

pagetop