それだけが、たったひとつの願い
「顔じゃなくて演技がタイプなの。この人はきっとすごい俳優さんになる。今はまだ売れてる途中かな。将来はヒーローからヒールまでカメレオンみたいに変化してなんでも演じられる俳優さんになるよ。断言する!」

 きっぱりと私がそう言い切ったので、ジンは目を丸くしていた。

「由依って占いっていうか、予知できる能力があったか?」

 ツボにはまったようにクスクス笑うジンに、思わずプっと頬を膨らませた。

「でもわかるの。この俳優さんはまだ若いけど、同世代のほかの人と比べたら演技力が全然違うし、将来はそれが評価されること間違いなしだよ」

「そうか」

「ジンもそうなれると思うんだけど」

 隣にいるジンをそっと見上げた。

 ジンがこのまま芸能の仕事を続けるのなら、きっとそうなれる。
 息をのむような演技に誰もが見惚れる、そんな俳優になるだろう。

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