エリートな先輩の愛情を独り占め!?
彼女のサイン

タマの、思い切り困惑した表情が頭から離れない。
いっときの感情に任せて口が動いてしまい、まだ自分の中でも整理し切れていなかった本音がぽろっと口から出たのを聞いて、自分でも驚いたし幻滅した。
俺は、タマをそんな風に思っていたのか、と。

『普通にするつもりだったけど、正直今お前をどこに位置付けたらいいのか持て余してるよ』
俺のことを信頼し切って慕ってくれた大切な後輩に、俺はなんてことを言ってしまったんだ。

ああクソ、クソ、クソ、クソ。
下心があるのにランチに誘ったら、それはもはやただのアプローチだし浮気だ。
あの時間は俺にとってすごく大切なものだったのに、それを自らの手でぶち壊してしまった。

「ハチ君、顔色悪いよ。どうしたの?」
「知佳……、悪いけど今日は先に風呂入っていいか」
「いいけど、具合悪い?」

タマにとんでもない発言をしてしまったあの日から一週間が過ぎた。
俺は相変わらずあの日の後悔に追われる日々で、仕事中は仕事に没頭しているから大丈夫なものの、帰宅してからのフラッシュバックに悩まされていた。
知佳はそんな俺を勘ぐっているようだったが、この前俺が怒鳴ったことが効いたのか、質問攻めをしてくることはなかった。


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