ツケマお化けに恋して
いつものように仕事から帰ってくると部屋の前に崇仁(たかひと)が立って居た。

「よくここが分かったな?」

俺は居場所を誰にも教えていなかった。

「随分探したよ!どうして家を出て行ったんだよ?どんなに心配したことか…帰って来てよ!」

俺はドアの鍵を開け部屋の中へ入ると崇仁も入って来た。

「俺の事は放っておいてくれ!……帰れって…」と崇仁を押し出す。

「頼むから帰って来てくれよ!」と崇仁は懇願する。

その時「あの…」と美貴野の声がした。

「あぁもう朝からやねぇ〜しつこいんだから!私の事なんか忘れてって言ってるでしょ!?もぅ帰りなさいよあんたも仕事あるんでしょ?」と崇仁を追い返した。

「……また来るから」と崇仁は帰って行った。

「辰次郎さっきの人…」

美貴野が崇仁の事を聞こうとしたが俺は崇仁の事を話すつもりは無かった。
自分から縁を切ったのだ今更人に崇仁の事を話す必要もないだろう。

だから「ひつこい男ってヤーねぇ〜?」と誤魔化した。

それよりこないだの事を美貴野がどう思っているのか聞きたかった。

「美貴野?こないだの夜の事だけど…」

「辰次郎ごめん…また、迷惑かけちゃったね…私酔っぱらって襲っちゃうなんて酷い女だよね?アハハ……反省してる。二度と襲ったりしないから忘れてごめんね!じゃ、時間だから仕事行くわ」と駆け出した。

「あっいや…美貴野……」

違う!美貴野違う!!襲われたんじゃない!俺がお前を…
だが、俺は美貴野を追えなかった……
こんな俺では……



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