カリスマ社長に求婚されました
……と、昨日は思ったものの、やっぱり二宮さんに会うと、気持ちはどんよりする。

二日目のセミナーは、休憩中に優一さんの話題を振られ、気恥ずかしさでいっぱいだった。

みんな私が優一さんの恋人であることには好意的で、馴れ初めを聞かれたときは適当に誤魔化した。

唯一、話にも乗らず仏頂面でいたのは二宮さんで、昨日同様、隣の席同士の私たちは、朝からまともに口をきいていない。

そして、彼女が私に声をかけてきたのは、セミナーが終わり先生への挨拶も済ませて帰る間際だった。

「坂下さんって、ellの社長の恋人の割には、アクセサリーを全然つけてないのね?」

「えっ?」

「だってそうでしょ? なにも身につけてないじゃない。坂下さんなら、高級なものも簡単に貰えるをんじゃないの?」

指摘どおり、私はellのジュエリーはひとつも持っていない。

だけど、そんなことは気にしていなかったのに……。

「優一さんは、そんなことしませんから。それに私は、ジュエリー自体はもうそんなにこだわっていません」
< 226 / 287 >

この作品をシェア

pagetop