カリスマ社長に求婚されました
なぜだろう、あれほど抵抗があったのに、吸い寄せられるように店の前にきていた。

和也のことも、相良さんのことも、少しは前向きに考えられるようになったからか。

クリスマスイブ以来のellのショップに来ると、和也を少し思い出すけど、もう未練なんてない。

むしろ、相良さんの笑顔が思い浮かんで、胸がズキっと痛んだ。

しばらくウィンドウ越しにジュエリーを眺めていると、店のドアが勢いよく開く。

そして、そこから出てきたのは……。

「茉奈ちゃん!」

「さ、相良さん⁉︎」

まさか、相良さんが出てくるとは思わず、驚きで言葉がそれ以上出てこない。

ハンカチを返したいことや、相良さんがellの社長だったことや、パーティーのお礼や……。

とにかく話したいことはたくさんあるのに、こうやって再会できただけで胸がいっぱいになって話せない。

それに、優一さんも私を見て嬉しそうというより、どこか思いつめた表情をしている。
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