カリスマ社長に求婚されました
「ちょっと柊也(しゅうや)ってば、待ってたのはたった十分なんだから、我慢すればいいじゃない」

女性は、柊也さんという人に向かって口を尖らせている。

すると、柊也さんはしぶしぶ口をつむいで、顔を横に向けた。

「私は、高畑彩子(たかはた あやこ)っていうの。彼、正木(まさき)柊也と一緒に、ellのデザイナーをやってるのよ」

「は、初めまして。坂下茉奈といいます」

ellのデザイナーということは、彩子さんと柊也さんは、付き合っているということか。

ランチのときに、優一さんが言っていたものね……。

彩子さんは優しそうな人だけど、柊也さんは苦手だ。

未だ顔をそむけていて、この時間を迷惑がっているように見える。

「彼女は、今日からオレの秘書でもあり、大事な恋人だ。だから、ふたりもそれを覚えていて」

「えっ⁉︎ お前、彼女作ったのか?」

大げさなくらいに柊也さんは驚いて、それまでの態度とは一変、身を乗り出している。
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