カリスマ社長に求婚されました

それを見て、彼女とはまだ連絡を取り合っているのだと察し、苦しいくらいにショックを感じた。

「頻繁にじゃない……。ごくたまに、仕事のことで相談を受けるときがあるんだ」

優一さんは硬い表情のまま、そう説明した。

きっと、奈子さんもひとりでブランドを立ち上げた人だから、華々しく成功している優一さんに、相談したくなる気持ちは理解できる。

だけど、ふたりは元恋人同士なのに、気まずくはないのかが不思議だった。

どちらから、どうして別れたかは分からないけど、ふたりとも未練はないのか、そんな疑いを持ってしまう。

「そうなんだ……。奈子さんって、優一さんを頼りにしてるのね」

心の中の思いが素直に口に出せないのは、優一さんと正面から向き合う勇気がないから。

不安なことを、もっと伝えられたらいいのに、嫌みにも取れそうな言い方しかできなかった。

すると、優一さんはハンドルを握り前を見据えたまま、力強い口調で言った。

「茉奈、誤解をされたくないから言っておくけど、オレは彼女に対して特別な感情は今はない」