好きって言っちゃえ

ブライダルカウンターに着くと、美咲がカウンター席に座って、疲れた顔で先ほど終わった結婚式の資料を整理していた。

「あ、お疲れ様です」

美雪の姿を見て、スッと立ち上がり、一緒に来たのが光俊たちだと気づき自然と笑顔になる美咲。

「相変わらずわかりやすいわね。あ〜、私もわかりやすくいこうかな」

「え?なんですか?」

ブツブツ呟く美雪の言葉が聞き取れなかったので、美咲が聞き返した。

「美咲ちゃんも今日は結構人数多かったから疲れたでしょ。一緒に休憩しましょ。皆の分コーヒー淹れて来て」

「あ、はい」

すぐにカウンターから出てコーヒーを入れに行こうとする美咲の腕を美雪がパッと掴んだ。

「はい?」

「後で長岡くんも来るから、5つね」

美雪は掴んでない方の掌を広げて『5』を示した。

「あ、はいっ」

「じゃ、宜しく」

美雪は美咲から手を放すと、

「こっちにどうぞ」

と、テーブル席に二人を座らせた。

「で…」

と、座ると早速本題に取り掛かろうとする航に気付かないフリで、美雪がその声を遮り話し始める。

「あの後、司会してた結婚相談所の所長さん、すっごい盛り上がってて、『あの二人が結婚する時には絶対私が司会するから知らせてね』って、張り切ってたわよ」

「あの人、結婚式の司会もするんですか?」

話の出鼻を挫かれたので仕方なく、美雪の話に乗る航。




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