恋をしよう!

王子様の暗躍-Masahito-

腕時計に視線を向けると、7時を過ぎたところだった。

最近は遅く帰る日々が続いていたから、今日は久しぶりに早く帰れそうだ。

「さて、もう帰りますか」

帰り支度を済ませて椅子から立ちあがろうとしたら、
「失礼します」

誰かが数学準備室に入ってきた。

「古川…?」

入ってきたのは古川だった。

んっ?

ちょっと待て、古川は2年生だったはずだぞ?

3年生の数学を受け持っている僕に、2年生の古川が何をしにきたんだ?

そう思っていたら、
「今日は荻原先輩を待たせていないみたいですね」

古川が言った。

美咲がどうかしたのか?

と言うか、待たせていないって…まるで何かを知っているような古川の言い方に、僕は戸惑った。
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