恋をしよう!
もしかしたら、認めている部分があるのだろうか?

そう思ったのが、そもそもの間違いだった。

いや、憧れだと言った時点でもう間違いだったんだ。

――要するに、勘違いはよくないと僕は思うよ

僕がそう言った瞬間、荻原は表情を失くした。

大きな目は見開かれたままの状態で、色を失っていた。

――…迷惑、ですか?

呟くように聞いてきた荻原のその声は、一切の感情がなかった。

迷惑だと言えば、迷惑だった。

だけど、僕のせいで荻原のこの先の人生をムダにして欲しくなかった。

――正直なことを言うと、少しだけ…

そう返事をしたら、荻原は今にも泣きそうな表情で呟くようにそうですかと言った。

そんな顔の彼女を見たのは初めてで、僕はどうすればいいのかわからなかった。
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