☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

翌日の早朝、へリオは船にいた。

「さてさて、あのラブラブカップルどう思う?」

「…」

そういじけるなって、そう言ったへリオはセレンの肩を叩く。

「可愛い子供好きだからなぁ、お前」

「…あの女ったらし」

セレンは足元の芝生をいじくりまわしながら呟いた。

「チャラ男、浮気性、変態、ロリコン、プレイボーイ、馬鹿、アホ、貧乏、不器用、ナルシスト、自意識過剰…」

「分かった分かった」

暗く呟くセレンを励ましつつ、へリオは微笑んだ。

「彼氏ですって紹介されたらどうすんの?」

「…硫酸頭からぶっかける」

「やめなさい」

傷害事件が起きそうだ。

へリオは微笑みながらセレンをなだめた。

「親かよ、お前は」

「…」

黙れ、と小さく呟かれた言葉を聞き流して、へリオは笑った。


「あーさがきたぁーああ…つか夜だな。きれーな紅月、えんぎわりー」

「文句ばっかり言わないでよキング。出るまでにこれ巻いておかないと。これも積んでおかなきゃだし…」

キースは包帯を巻き取りながらそう言った。

キングは輸血パックをポイポイ投げている。

「めんどくせー。どーせ全部セレン用だろ?」

「そうだけど。だってセレンすぐ怪我するんだもん」

「あの餓鬼。アクアと会ってから三回くらい倒れたっけ。なんだっけ?貧血?ストレス?あ、そーだそーだ階段で転んだんだったな」

投げやりに言ったキングはボックスの中に三つまとめて放り込む。

「もうちょっと丁寧にやってよ。破れたら大事でしょ」

「いいだろ。もう数個いっちゃったし」

「うそ!?やめてよ!!」

「嘘だよ、ばーか」

キングはそう言って薄く笑った。

「さ、もう行こうぜ。出港だ」

< 98 / 146 >

この作品をシェア

pagetop