とろける1/2 かぼちゃプリン


桜の花びらがそよそよと舞い落ちる校門の前で、私は真新しい制服に身を包み腕時計を見つめながら、通りすがる通学生の群れの中を見つめた。



――私、湯元 皐月〈ユモト サツキ〉。

本日からこの私立 陽炎聖堂学園 高等部において入学する新入生だ。



再度、腕時計に目を落とすとハラハラ…と小さい薄い桃色の花弁が時計に落ちてきた偶然に癒されつつ再び人混みの中に目を配った先にクラクションを鳴らしつつ暴走してくる車が1台通勤する群れを割くように侵入して私の目の前で止まる。



「―――どうもありがとう。」


立派な高級車から執事らしき男性が後部座席の扉を開けてしなやかにでてくる同じ真新しい学生服に身を包む女子学生に私は思わず愕然と口をあけたまま迎えた。



「あら、皐月様じゃないの??ごきげんよう……。」


麗しき厚みのある唇の端をつりあげて私の姿を見つけたその人物に私は恐る恐る尋ねた。





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