嘘から始まる恋だった

もっと、もっととよく深くなる俺は、首すじをつたう蜜をわざと見逃し、彼女のブラウスのボタンを1つ、2つと外し白い肌に舌を這わせ甘い蜜と肌を味わう。

女性特有の甘い香りが鼻先をかすめ、クラっと持っていかれそうになるほど匂いに魅かれ、このまま服を脱がし、なめらかな肌に手を滑らせ抱きたくなるほどに欲情させられる。

だが、わずかな自制心が外してしまったブラウスのボタンを閉じた。

そうしなければ…見える胸の谷間に顔を埋め唇を這わせていただろう。

虚ろに目を潤ませていた彼女の頬にキスをして…

「…俺を好きだと言うまでお預けだな……俺の自制心がなくなる前に1日でも早く認めろよ」

冗談めかして苦笑いし、彼女のおでこを指先で小突いた。

おでこを触り、頬を染める麗奈…
可愛らしくて、今にも押し倒したい衝動をグッと堪えている俺。

彼女を手元に置いておきたくて同棲に持ち込んだが…こんなに理性が効かなくなるとは思ってもなかった。

やばいな…
側に置いて、キス以外何もせずにいられるだろうか?

「さて、麗奈の部屋に案内するよ」

彼女の荷物を持って、空いている部屋に向かった。

客間用の部屋にはクローゼットとベッドもあるから困らないだろう。

だが…少な過ぎる持ち物。

「明日は、麗奈の服を買いに行こうな」

戸惑う麗奈…

「…必要ないよ」

「俺がお前と出かけたいだけの言い訳だから気にするな」

「……ありがとう…」

素直な麗奈…俺が気を使ってそう言ったと思ったのだろう。

そんなことないのに…
恋人同士のようにドライブに出かけ…
手を繋いでショッピングして…
1つの食べ物を歩きながら分けて食べて…
お腹が空いたらどこかで食事をして…
帰りはちょっと寄り道して…
冬の綺麗な夜空を見上げて…
キスをして…
抱きしめたいだけで…

俺の願望を1つずつ叶えていこう。

「風呂を沸かしてくるから荷物を解いたら先に入って休めよ」

ポンポンと麗奈の頭を叩いて、部屋のドアを閉めた。

風呂あがりの麗奈がルームウエア姿で出てきた。

彼女がお泊まりにきたような感覚に、本物の恋人同士になった気がして頬が緩んでしまう。

彼女の気持ちを待つと決めた以上、待つつもりでいるが…このまま耐えるのは辛すぎる。

あまりにも無防備な麗奈が、憎らしい小悪魔に見えた。

「麗奈…頼むから何か羽織ってくれ。目のやり場に困る」

ボッと頬を染めた麗奈だった…
< 40 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop