ブレスフル クリスマス
-5-
忙しい時間やから
私もすぐにお店を出るわけにはいかなくて
どうしよう・・・と思いながらも
その携帯をポケットに入れて
そのまま、仕事を続けた。

それから2時間ほど経って
ひと段落してホッとしてたら
ブブブブブブブブブ・・・・・・・・・
ポケットに入れてた携帯が振動し出した。

あっ!
さっきの人
気付いてどっからかかけて来たんや!!


「もしもし!」

『・・・・・・』

急いで電話に出たけど
電話の向こうの人は
驚いてるのか
なにも言わない。

しもた!
あの人とちゃうかったんや!!

「あのっ・・・!」
『・・・誰?』

女の人の声や!

『謙司さんの・・・新しい彼女・・・?』

うひゃぁ~!
誤解されるっ!!

「違いますっ!私、忘れて行かれてたこの携帯拾っただけのもんです!!本人さんかと思って慌てて電話に出てしまいました!」
私、テンパって一気にそう言った。

『そう・・・』
柔らかい声の
電話の相手は妙に冷静だ。

「なので!本人さんは今どこにいるのか分かりません!!」
私はなおもテンパって続けた。

『じゃあ、アナタでもいいわ。謙司さんに伝えて』
「はっ!?」

『明日の15時の新幹線で帰るから。さようなら。って』

「はぁっ!??」
さようなら!?

そんなこと、直に言わんとアカンやろ!!
たぶん、この人
携帯忘れてった‘ケンジさん’の恋人なんや!
そんで、この電話は別れの電話なんや!!

「ちょっ・・・待って下さい!そんな・・・」
全部言い切る前に
プツッ・・・ツーツーツー・・・
電話を切られてしまった。

ってゆうか、なんで私が言わなアカンのん!
絶対ムリやし!!
冗談じゃない!!
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