ブレスフル クリスマス
-13-
「今度はオレから聞いてもいい?」

見晴らし台からの眺めにしばらく見とれてると
謙司さんが口を開いた。

「なんですか?」
私は謙司さんの方を振り返る。

「さっき会った彼・・・元カレだよね?」

ドクンッ!

大きく心臓が揺れる。

「・・・・・・」
私、なんも言えんで黙ってしまう。

「傷えぐるようなこと聞いてごめん・・・。だけど、さっきの様子見てすごい気になったんだ。ツラそうだったから」
「・・・・・・」
「ごめん・・・オレには関係のない話だよね・・・・・・」

さらに黙る私に
謙司さん、申し訳なさそうに苦笑いした。
そんな謙司さん見て、金縛りが解けたかのように口を動かす。

「水原さんの言う通りです・・・もう3ヶ月経ってるのに全然吹っ切れてないんです・・・」

そう言うと
ずっとずっと
内に秘めて我慢してた気持ちが一気に
涙と一緒に溢れ出す。

「だって!あんなに好きやったのに、勝手に他に好きな子作ってしもて・・・私に気持ちないの分かってるのに引き止めるとかできひん!私、謙司さんみたいに大人じゃないから、そんなキッパリ割り切られへんねん!」

下を向いてぼろぼろ涙をこぼす私のアタマを
謙司さんが優しくなでてくれてる・・・。
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