ブレスフル クリスマス
―19―
声がしたと思った方を振り返っても人通りの多い駅前。
人がごった返しててどの人に呼ばれたんか
すぐには判別できひん。

でも数秒、目を凝らしてると
雑踏の中から
私の方に走って来る
スーツにネクタイ、黒いトレンチコートの
見知った人の姿を確認できた。

・・・うっそぉっ!!
なんでっ!?
なんでこんなとこにおるん!??

その人はもう会うことないと思ってたあの人・・・
謙司さん!
さっきの電話でのことが思い出される。

アカン!ムリや!!
会わせる顔がない!!!

そう思った瞬間
きびすを返して走り出す。

「透子!!」

私を呼ぶ声が聞こえたけど、止まれるわけない!

クリスマス仕様の街の中
たくさんの人でにぎわってる街の中
とにかく、走って走って走って走る私を
謙司さんは確実に追ってくる。

はぁ はぁ・・・
疲れへんのかなぁ?
私、そろそろ足がもつれてコケそうや・・・。
今日はなんか走ってばっかやな・・・・・・。
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