旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

「ほんっとーに口の減らないヤツだな。一生猿ぐつわ噛ましてやりたいよ。まあいい。そのじゃじゃ馬根性、結婚するまでに結城の嫁として相応しいように俺が叩き直してやるからな。直んなきゃお前のウエディングドレスは猿ぐつわ付きだ。覚悟しろよ、真奈美」

「はぁ!? 何様のつもり? 颯こそ、そのイヤミで偉そうな性格、結婚するまでに直して欲しいんですけど」

「いきなり呼び捨てにすんな!」

「そっちこそ!」

私たちは傍目には、それはそれはニコニコと上品で仲睦まじそうな笑顔を浮かべながら庭園を歩いた。他の誰にも聞こえないほど小さな声で盛大なケンカをしながら。



浅葱真奈美、二十三歳。初めて会った婚約者は凛々しく見目麗しい日本一の御曹司で、優しい紳士の顔を持つ私の初恋の人で、そして――とんでもなく尊大で横柄でイヤミなストーカーだった。
 
 
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