旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

――雨降って地固まる、ってやつかもしんない。

ケンカをして一週間も颯が帰って来なかったときにはどうしようかとも思ったけど、逆にその冷却期間が功を奏し、お互いに優しくなる余裕が出来たのかも。

おかげで私の中の颯株は急上昇中だ。この理不尽な監禁生活でさえも、彼のためだと思うと楽しく感じてくる。

まあ、さやかやメイドたちがおしゃべりや運動に付き合ってくれているのも大きいと思うけど。

そんなわけでここへ来てはや十日。呑気に監禁生活に馴染み出した私の元へ――ある人物がやってきた。


それは昼食も済み、部屋でのほほんと読書をしていたときのこと。

「真奈美さま。お客さまがいらっしゃいました」

ノックと共にそんなさやかの声が聞こえ、私は驚いて顔を上げた。

お客さま? だって外部との接触を厳しく禁止されている私に来客なんてあるはずがないのに。

どういうことだろうと思ってソファーから立ち上がったとき部屋の扉が開かれ……驚くべき人物が私に向かって駆け寄ってきた。

「お嬢さま! ご無事ですか!?」

「ふ……藤波!?」
 
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