【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
極道の花
「おぅ三浦じゃねぇか、お前今さら何やったんだ。最高顧問たちが来てるのと関係あんのか?」
警察署の中ですれ違い様に声をかけたのは丸暴と呼ばれる暴力団担当のベテラン刑事
「ワッパに繋がれてねぇよ」
「それじゃ何があったんだ」
他の警察官や同僚の刑事から話しを聞いた小川は、三浦が聴取をされている部屋へとやってきた。
無線で聞いたボーガンでの事件に関係していた事がわかったからだ。
「お手柄じゃねぇかよ」
「何呑気な事言ってやがるんだ。撃たれたのは平良さんですぜ、おまけに結衣さんの逆鱗に触れた察がいるって事わかっておりやすか」
三浦の言葉に小川の顔色はみるみると蒼く変化していく。
「四郎、五郎の五郎って平良か。平良五郎か。それじゃ四郎って藤堂結衣の四郎か」
「そうでごぜぇやすよ」
顔なじみの刑事という事で三浦も普段は重い口もわざわざ煽るように小川に告げる。
「早く言えよ。どこの病院だ。」
狼狽える小川は極道の世界をよーくご存知。
「おい、三浦は丁重に扱えよ。犯人じゃねえぞ。犯人逮捕の手柄をたてた方だ」
年配の刑事たちは、笑いながら
「わかってますよ。それより組長か若と連絡とった方が」
「おい、結衣さんを止められるのは誰だ」
「誰も結衣さんを止めることなんか出来ねぇよ。筋の通らねぇ事や仁義を通さねぇやつには、命はるお方ですぜ」
「植木はどうだ。植木なら止められるか」
「若が止められないものを植木さんがどうやって止めるんでごぜぇやすか。結衣さんの一言で日本中の極道が動くって事をあんたなら良くご存知でごぜぇやしょ」
にやりと笑う三浦とは対照的に小川の顔は引きつりさえ見せる。
「おい、平良のいる病院に緊急配備だ。誰か藤堂組長か若頭と連絡取れ!急げ。東京に最高顧問の男たちが集結してんだ。急げ急げ」
これはちょっとした三浦の警察への威嚇。
結衣が怒った原因を知っているからこそ結衣の為にあの場で堪えた平良を思っての事だった。
「まんざら嘘でもねぇしな」
堂々と煙草を咥え火をつけると三浦の前には灰皿が置かれた。