ご主人さまの冷酷彼氏
ご主人さまの冷酷彼氏



えー…………





突然ですが、おれはネコです。






……突然すぎるって?


……なんでネコがしゃべってんのかって?




まあまあ、そんなさみしいこと言わねえでさ。


これもなにかの縁ってやつだ。


とりあえずちょっと、聞いてってくれって。な?




えー……コホン。


もうちょいくわしく、自己紹介させてもらうとな。



おれ、飼いネコなの。


落ち着いた雰囲気の住宅街にある、一軒家に住んでんだ。


これが、けっこういい家なんだよ。広いし、床暖房とかついちゃってるし。



……って、自慢げに言っちまったけど。



ほんとはおれ、ノラになる一歩手前の運命だったんだよな。



さかのぼって、今から数年前のことだ。



まだ赤ちゃんネコだったとき。おれ、前の飼い主に捨てられちまったんだよ。



ほら、ドラマとかでよくあるやつ。


ご丁寧に段ボールに入れられて、公園の片隅に置かれてさぁ。


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