水野にとっては、本当に小さな事かもしれない。




けれど、昴にとって周りからそう思われるのは、決していい気分ではなかった。







今までの彼は、周りと壁を作ってなるべく深く関わらないようにしてきた。





でも水野は、そんな彼を無視してどんどん彼の中へと入ってくる。




正直言って、戸惑いの方が昴にとって大きかった。



けれど、嬉しいのもまた事実なのだ。















「…水野にとっては小さな事でも…僕にとっては大きな事なんだよ…。傷付けたことは謝るよ、ごめん。けど、僕の事はもう放っておいてくれないか?」
昴は水野の言葉を聞いて、少し怒りを含みながら言うと、睨み付けるように彼を見る。






「…ムリ。オレはもう、紺野とダチになるって決めたんだよ。だから…周りなんか気にすんな。
だってさ、実際にダチになんのは、オレとオマエなんだぜ?
周りのヤツらなんか全然関係ねぇじゃん。」
水野は昴の肩に手を置いて、再び眩しい笑顔で言う。






昴はそう言う水野を、嬉しいような困ったようなどちらとも云えない複雑な表情で見つめる。







そんな昴の視線に気付き、水野は優しく微笑むと、少し離れた場所から二人を見ていた元気の方を指差す。






「たとえばさ、アイツとか。」








「…はっ?オレ?」
突然話を振られた元気は、自分を指差しながら間抜けな声を出す。








昴はそんな水野の行動と、元気の発した間抜けな声に、何だか可笑しくなり笑いが溢れる。






「…ぷっ、あははっ。ふふっ、あははっ!」






「なっ、何笑ってんだよっ!紺野っ!」
元気は自分が笑われたのだと思うと、急に恥ずかしくなり顔を真っ赤にして昴の方へと近付いていく。







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