雨恋~芸能人の君に恋して~
―6年後―



渋谷駅から、ロケバスに揺られて現場へ向かう。



着いたのは、今は閉鎖中のショッピングモール。



ぞろぞろとバスを降りる流れに乗って、私も降りた。



「おはようございます!よろしくお願いします!」



元気なスタッフさんの挨拶に、笑顔を作って挨拶を返す。



誘導されるまま、屋外に設置された特設ステージへと向かった。



私、相澤琉宇(あいざわるう)。20才。



専門学校に通いながら、芸能活動をしている。



と言っても、末端の末端。



来るのは何十人。何百人単位で稼働する、エキストラの仕事ばかり。







「カメラリハ、スタート!」



「ストップ!その赤い服の子、もっと右!」



監督の指示で、スタッフが私の立ち位置を修正する。



「今から本番!みんな、元気良くね!」



その声に、ここに集まったエキストラたちが、揃って笑顔を作った。



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