5男1女の兄妹の長い1日 これって禁断の恋? 
本当の気持ち…
「ただいま」

亮兄さんの声が聞こえたのでリビングから玄関に向かう。

「お帰りなさい」

「美侑綺麗だね、聡にやってもらったの?服も似合ってるよ」

「うん、有難う……」

撮影の事を話すと亮兄さんも怒るかな?

「美侑どうした?」

「…」

「隠し事はしない約束だろ?」

亮兄さんは首を傾げ私の顔を覗き込む。
亮兄さんの顔が近くて朝の事を思い出してまた心臓が跳ねた。
私は顔を赤くしながらも撮影の事を話す事にした。
亮兄さんは少し顔を歪めながらも最後まで話を聞いてくれた。

「相談しなくてごめんなさい…」

「まぁ…問題無いと思うけど、大学の方にも一様話しはしとくよ」

「大学にも?」

「あぁこんなに綺麗な美侑なんだ、もしかしたらあのモデルは誰?って騒がれるかもしれない…そぅなった時大学にも迷惑が掛かるかもしれないからね」

「…ごめんなさい…」

「美侑は心配しなくてもいいよ」と頭をポンと叩いてくれた。

そして「じゃー着替えてくるよ」と亮兄さんは自分の部屋に入って行った。

航兄さんは仕事でもう少し遅くなると言うので、航兄さんが帰ってくるまで皆でリビングルームに居ると着替えを済ませた亮兄さんがアルバムを持って来た。

リビングの机を囲むように座ると啓兄さんはアルバムを開いて「懐かしいなー」と微笑む。

みんなが小さい頃の写真が沢山貼られている。

「あっこれみぃーがお漏らしして泣いてる時の写真だぁ」と璃兄さんが写真を指差して笑う。

「えっ嘘?違うよお漏らししてないもん!」と私が口を尖らせる。

すると聡兄さんまでも「あったあった」と笑う。

「えー嘘でしょう?」と私は亮兄さんの顔を見る。

すると亮兄さんは微笑んでくれる。

「そんな事も合ったな?でもあれは璃がいけないんだぞ!ハロウィンで白いシーツをかぶって幽霊だぞって脅かすから」

あぁそんな事もあった気がする。

兄さん達はパパやママが側に居ない分寂しくないようにって色々なイベントをして喜ばせてくれた。

「もぅ璃兄さんのせいなんじゃない!」と言い私は頬を膨らませ璃兄さんを睨む。

兄さん達はそんな私を見て優しく笑っている。

今日みんなが私を『愛してる、ずっと側に居てくれ』と言ってくれた。
私も兄さん達を好きずっと兄さん達の側に居たい…

暫くすると航兄さんが帰って来てリビングに入って来た。

「あっ航兄さんお帰りなさい」

「ただいま、遅くなって悪かったな?」

「お疲れさん」啓兄さんが航兄さんに労いの言葉を掛ける。

「今ね小さい頃の写真を見てたの」と私は微笑む。

「そうか?美侑ちょっと俺の部屋に良いか?部屋に誕生日プレゼントが置いてあるんだ」

すると啓兄さんが「なに?プレゼントならここで渡せば?」と言う。

「兄貴達だって美侑と二人っきりで居るときに渡したんだろ?」

「まぁね!」と聡兄さんは返事をする。

すると璃兄さんは「おれは二人っきりじゃなかったよ!店員さんが側に居たからね?でも良いよ、俺には勝ち目ないんだし…」

床に座っていた璃兄さんはテーブルに頬杖を付いて少し不貞腐れるように言う。

すると亮兄さんが「璃、子供みたいだぞ」と笑う。

「美侑」と航兄さんに言われ私は航兄さんの後に付いて行く。

航兄さんの部屋に入るのは久しぶりだった。
航兄さんが部屋に入っても私は入るのを躊躇した。
航兄さんは仕事の資料を持って帰って来ることも多く机の上は仕事の資料が山積みになっている。
航兄さんは弁護士と言う仕事柄守秘義務や極秘資料がある。
だから私は航兄さんが弁護士になってからは一度も部屋には入っていない。

「航兄さん私が部屋に入っても良いの?」

「別に構わないよ、美侑が仕事の資料見てどうこうするとは思っていないから、おいで」と手を差し出される。

私は航兄さんの手を取り安心して航兄さんの部屋に入る。

航兄さんは私と向かい合って立つと少し困った顔をする。

「この格好似合わない?」

「いや、とっても綺麗だよ…いつもは可愛い美侑がこんなに変わるなんて驚いてるし困ってるよ」

「困るの?」

「あぁ困る」

「…」

「自分の気持ちを抑えられなくなるからね」

「気持ち?」

「美侑の事をずっと好きだった…兄としてではなく一人の男として美侑を愛してる」

航兄さん…
私も航兄さんが好きだった。
子供の頃からずっと…

航兄さんは毎月29日朝早く近くのお寺にあるパパとママのお墓にママの好きだったガーベラの花をお墓に備えてくれていた。

私が中学生になって試験勉強を徹夜でしていた時、航兄さんが朝方庭にママが植えたガーベラを摘んで居るところを2階の自分の部屋の窓から見て慌てて庭に飛び出し航兄さんに声を掛けた。

『航兄さんこんなに早く何してるの?』

『あっ美侑起きてたのか?』

『うん、それどうするの?』

『お墓に供えるんだよ』

『じゃー美侑も行く!』

航兄さんと手を繋いでお寺までの道を歩いた。

『ねぇーもしかして航兄さんいつもお墓に備えてくれていたの?』

私は春と秋は、毎日ママが植えた庭のガーベラに挨拶をしていた。
でも時々花が切られている事があった。

『あぁ』と航兄さんは微笑む。

それからは私も航兄さんと一緒に毎月朝早くお墓参りをしていた。
私はこれがデートみたいで楽しかった。

「航兄さん…私も航兄さんが好き!でも…でも、私達は兄妹だもん…」

私は涙が溢れてきた。
航兄さんの事がこんなにも好きなのに報われない…

「美侑?美侑は俺の事は兄さんとして好きなのか?」

「…」

私は俯いて首を横に振った。

「俺達は兄妹だけど血は繋がっていないだから結婚だって出来るんだぞ?」

航兄さんは私の顎に手をかけ顔を上げてくれた。
そして私の涙を掌で拭ってくれた。

「美侑の本当の気持ちを聞かせて欲しい、俺の事一人の男としてどう思ってる?」

「…ずっとずっと自分の気持ちを抑えていたの兄妹だから…愛しちゃいけないんだって…でも好きなの…航兄さんを愛してる…一人の男性として」

「美侑…結婚しよう?美侑が20歳になる迄ずっと待っていた」

「航兄さん…」

航兄さんの唇が私の唇に重なり私を優しく抱きしめてくれる。
重なるだけのキスから啄むようなキスへそして航兄さんの舌が入って来て口内を弄り私の舌と絡める。
私は航兄さんの背中へ腕を回し航兄さんに応える。

愛してる…
航兄さんを愛してる…

体を離すと航兄さんは机の引き出しから青い小さな箱を出し開けると私に見せてくれる。
中にはピンクダイヤが埋め込まれたリングが入っていた。

「美侑、結婚してくれるね?」

「はい」

航兄さんは箱からリングを取り出すと私の左手薬指に嵌めてリングにくちづけをしてくれた。

「有難う」

また涙が溢れてきた。
さっきの涙とは違う…
嬉し涙…
幸せ涙…
有難うの涙…

「美侑…」

再び航兄さんの唇が落ちて来た。

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