才川夫妻の恋愛事情



「……なんですか」

「いや。むかつくって言われたのも、花村の惚気ばっかり言ってたら野波さんに怒られただけなのになーと思って」

「やだ、嬉しー♡」

「信じてないだろ」



別にいいけど、と言うと才川くんも自分の作業に戻ってキーボードを叩きだした。……信じてないこともないんですが。でも本当にそうだったからと言って、私はどんな反応をすればいいんでしょう。

なんだか本当に才川くんが野波さんに私のことを話したんじゃないかという気がして、ちょっとむず痒い気持ちになってしまう。



(仕事しよう……)



きちんと仕事をこなして、私は今日も才川夫妻の嫁をまっとうする。彼が彼の仕事でベストを尽くせるように。











いつものように才川くんと昼食をとって、午後。

今日はスケジュールに余裕があったので外で食べようということになり、二人で行きつけのお蕎麦屋さんに行った。お腹いっぱいになってオフィスに戻ると宅配業者の人がいて、社員証でしか開かない扉の前で立ち往生していた。



「あ、すみません! 宅配ですよね。サインします」



そう声をかけて、伝票にサインする。荷物は営業二課宛てで、内容は〝バラ〟と書かれていた。

お花なんて手配した覚えないんだけどな……? しかもバラ? 誰か営業さんがタレントへのプレゼントにでも用意したんだろうか。


< 258 / 319 >

この作品をシェア

pagetop