才川夫妻の恋愛事情


「……そんなの、絶対会社で間違えちゃうよ……」

「その時はその時だ。いくらでもフォローできる」



才川くんの手は止まらない。

彼が家の中でこんなに触れてくることは珍しい。だから、ほんとはちょっと嬉しい。そんなこと口に出してしまうとぱっとやめられてしまいそうで言えないけど。

ショーツとストッキングの上から引っ掻かれる。



「んんっ……」

「それで、感じたのかって訊いたんだけど。……確かめていい?」

「やだ……先にお風呂入りたい」

「先にも後にもない。確かめていいかって訊いたんだ」

「っ、あ……さ、さいかわ、くん……やめっ……」

「千秋って呼べって」



会社ではもう勘弁してほしいと思うくらい、溺愛してくるくせに。

家ではドSなこの男。才川千秋は。



「自分が〝才川みつき〟だって自覚が足りないんじゃない?」

「っ……!」






六年前から、私の旦那様です。



< 28 / 319 >

この作品をシェア

pagetop