二度目の恋
午後からも山ほど仕事がある
5時までに終わらせないと…と
意気込んで机に向かう
「田宮さん、聞きました?」
隣の席の高木さんが話しかけてきた
『どうしました?』
私は手を止めず、返事だけする
「なんか、新社長が部署ごとに監査するみたいですよ?」
監査?……ああ、経費削減?
『へー……なら、私まずいわね。クビになるかしら?』
「何言ってるんですか?だから、早く社員になってくださいって言ってるんですよー、田宮さんいなくなったら俺たち死んじゃいます!」
いやいや…死なないから……
『んー、考えようかな、次』
そう言うと高木さんは落ち込んでいた
そりゃそうだろう
事務仕事は全て私に回ってくる
私がいなくなれば自然に自分達でやらなくてはならない
増員なんて、ないだろうし……
人事に声をかけているのは
多分、課長ではなくその上の部長かしら?
部長はもともと営業マン
私が6年目の時に部長就任したから
営業部の大変さはわかっているんだろう。