二度目の恋


午後からも山ほど仕事がある
5時までに終わらせないと…と
意気込んで机に向かう


「田宮さん、聞きました?」



隣の席の高木さんが話しかけてきた


『どうしました?』


私は手を止めず、返事だけする



「なんか、新社長が部署ごとに監査するみたいですよ?」


監査?……ああ、経費削減?

『へー……なら、私まずいわね。クビになるかしら?』



「何言ってるんですか?だから、早く社員になってくださいって言ってるんですよー、田宮さんいなくなったら俺たち死んじゃいます!」


いやいや…死なないから……


『んー、考えようかな、次』


そう言うと高木さんは落ち込んでいた
そりゃそうだろう
事務仕事は全て私に回ってくる
私がいなくなれば自然に自分達でやらなくてはならない

増員なんて、ないだろうし……
人事に声をかけているのは
多分、課長ではなくその上の部長かしら?

部長はもともと営業マン
私が6年目の時に部長就任したから
営業部の大変さはわかっているんだろう。
< 23 / 269 >

この作品をシェア

pagetop