天使の恋
天使 出会い
0
天使。
人を天使に連れていく。また恋の手助けをする。などが一般的だろう。
その天使を僕は、見たことがあるのだ。
火事の中で。
ひどい有り様だった。家族でのショッピングが楽しいはずのお休みが火の海に変わっていたのである。そこに羽を生やしたような、光る人型が現れた。
そして、倒れた人に近づいて何かをしている。すると、そこら白い火の玉が抜け出ていた。天使が、人を天国に連れていっている。
そこにかわいい天使のイメージはなかった。ただの死神のようにしか、僕には見えなかった。

1
あれから僕は、高校生になっていた。両親も僕も火傷と軽い怪我だけであの火事から助けられた。そして、僕、風間空也は変わらない1日を過ごしているのである。
「くぅー。おはよう!」
毎朝、僕に挨拶をするのは幼馴染みの空野翼である。確か、幼稚園の頃からの腐れ縁だったと思う。そこは、あやふやだ。セミロングの明るめの髪色に、慎重は僕と同じくらいで家が近いのが彼女である。
「はぁ…はぁ……あれ?…やっぱり無視?」
僕は今年に入ってから翼のことを無視しているのである。なぜかと言うと、この女。
モテるのである。
重要だな、もう一回言おう。モテるのである!
僕よりも勉強もスポーツもできないくせに人付き合いも良いのか、僕よりももてるである。しかし、彼女は告白をされても、「ごめんなさい!」
はい、終わり。である。付いたあだ名が「氷の翼」
なので、男子から僕がどのような目で見られているのかはお察しの通りである。
今も隣で騒いでいる。うるせぇ!!
「な、つばさ」
「ひゃ……ひゃい?」
驚いて噛んでいる翼。
その瞬間に、僕が足はを踏み出して地面を蹴って飛び出したのである。
「ちょ、ちょっと!?」
彼女、空野翼の50m走のタイム。15秒。
6歳、小学1年生女子の平均よりも4秒も遅い彼女は僕に追いつけるわけがない。
「くぅー。くうやー」
翼の叫び声が聞こえたが僕には聞こえなかった。

2
少し走った所で学校前の鉄橋に付いた。そこから、一人の女子が降りてきていた。
『羽……?』
太陽の光に包まれながら、長い髪を優雅に揺らしながら手すりを使って降りてくる彼女。その回りに白い羽が舞っているように見えた。
「あの……おはようございます……」
「あ、お、おはよう……こざいます……」
見とれてしまった。
それが彼女、天音凉芽との出会いだった。
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