早く俺を、好きになれ。


お菓子作りの基本の基の字も知らない私に、織田さんは呆れることなく付き合ってくれた。



あとは薄く伸ばして型を取るだけだから、何とか大丈夫だとは思うんだけど。



織田さんがいなかったら、どうなっていたことやら。



冷蔵庫に寝かせた生地を、消毒して粉を引いたテーブルの上に置いた。


よし、早速薄く伸ばさなきゃ。



生地を伸ばす棒を手に取り、先っちょを生地に突き立てる。


こんな細かい作業を繰り返して伸ばさなきゃいけないなんて、お菓子作りって結構体力がいるんだね。



ーートントントントン


ーートントントントン



必死に先っちょで生地を押し付けていると。



「「「ちっがーう!」」」



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