優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴わかるはずない


「先生っ、先生! 安西先生、
あら、Sakuraじゃねぇ?」
「あぁ?Sakuraって?」

「えっ、先生知らないの?
今、ネットですごい人気の人なんだよ。
イギリスのグルメを紹介したり
和訳なんかをしている人

その人のファンの人が
勝手にネットに掲載して
すごい数の人達が閲覧してるんだよ。

スッゴい、綺麗な人で
若い人では、ないけど
儚げで、愁いがあって
大人の魅力、みたいな
極めつけは、あの瞳
ハーフなんだけど
透き通るようなグリーンの瞳

あの瞳で、見詰めてもらいたい‥‥
なんて。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「先生っ、先生ったら、聞いてます?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「もぅ、安西先生!!聞いてますか?」
「あっ、ああ。ごめん、ごめん。」


私は、そっと
その学生の前に立ち
「ありがとう。
私の事を知っていてくれて
しっかり勉強して
後悔のない、人生を歩いて下さい。」
と、彼の瞳をみて言った。

すると、彼は、
「はっ、はい、ありがとうございます。
おれっ、俺、感激です!
お仕事、がんばって下さい。」
と、言ってくれたから

私は、コクンと頷いて
その場を離れようとしたら
「‥‥‥‥‥咲桜」
と、呼ばれたが
私は、止まらなかった。

「待ってくれ、咲桜。」
「貴方と話す必要は、ありません。
生徒さんが、心配されますよ。」
「咲桜、俺は、やはり‥‥‥」

「貴方は、私が居なくなった事が
凝りとなっていると
言ったそうですね。

当時の私の気持ちが、
貴方に、わかるはずない!!

もう二度と、
私の名前を呼ばないで下さい。」

「咲桜‥‥」
と、名前を呼ぶが·····
振り向くことはなかった。

その時
「お母さん!!」
と、拓也に呼ばれて

「拓也、お迎えありがとう。
さあ、帰りましょうか。」
と、言うと
「知り合い?」
と、聞くから
「いえ、知らない方よ。」
と、言って拓也と図書館をでた。
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