living

後押し

久しぶりに大学へ


亜依里が父さんのところに逝ってしまい

母さんと2人きり

すっかり暗い家庭だ


朔哉の言ってた意味がよくわかる



「伊緒里… 大丈夫かよ!?」

葬式にも来てくれた朔哉に

少し笑って

「なんとか…」

そういうだけで、精一杯だった









講義を受けていても、亜依里の事を思う

亜依里にもう、会えないなんて…



空き時間



「朔哉
花菜ちゃんの事、無理矢理でも
連れて帰れ!!
会えなくなってからじゃ遅い!!
立ち直らせろ!!」


朔哉に同じ思いをさせたくない
そう思って、言った


「……それが」



朔哉が俯いた

踏み込まないと決めていたのに



「花菜…危篤なんだ」



踏み込んでしまった

「実はさ、中3で心臓病が発覚して
俺んち、貧乏じゃないけど
父さんが治療費のこと言ってから
高校も行かない、治療もしないって
出て行ったんだ」


俺は、聞き役に徹する


「花菜が倒れたって…知らせがあって
荷物見たら……
大金持ってて、連絡くれた人に聞いたらさ
ガソリンスタンドとコンビニでバイト掛け持ちしてたんだって
金と一緒に手紙あって……
〝延命は、しないで下さい
葬式代たりるといいけど〟
たったの2行だぞ…」


朔哉の背中を撫でてやる


「伊緒里が辛い時にこんな話、ごめんな」

「いいよ…全部言えよ」

「花菜の心臓に適合する心臓が見つかったらしくて、移植手術したんだ
でも…目覚める気配なくて
医師が、駄目かもって…」

「病院近いのか?」

「○△病院」

「まだまだ空き時間がある!!
今まで、一緒にいれなかった分
そばにいてやれ!!声掛けてやれ!!」

「うん……行ってくる!!!
ありがと!!伊緒里!!」




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