【完】365日、君をずっと想うから。


「なんだよ、俺寝てたんだけど」



安眠を妨害されたことに若干の苛立ちを覚えながら肘をついてシノを見上げると、シノはあわあわと手をばたつかせた。



「たいへんだよ、蓮。
小暮さん……だっけ?
小暮さんが熱をだして、保健室にいるんだって!」



「花が?」



は? まじかよ。


熱って、大丈夫なのか……?



昨日会ったときは、あんな元気そうだったのに。



未来で俺と花が出会ったのは、来年の3月。



つまり、この頃の花のことは知らなくて。


だから、花になにが起きるのかもわからない ─── 。



考える前に、ガチャンと音を立て椅子から立ち上がっていた。



「シノ、行ってくる」



「ん、行ってらっしゃい」



シノが安心したようにニヘッと柔らかく笑って、袖を伸ばした手を振る。



そんなシノに見送られ、俺は教室をあとにした。

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