太陽を追いかけて


真っ青に透き通る青空を見上げながら、私は通い慣れない道をひとりでてくてくと歩いていた。


今日は中学校の入学式。


私の家は母子家庭で、兄弟もなく、お母さんとふたり暮らし。


お母さんは私たちの生活費と学費を少しでも稼ぐためにと、娘の入学式まで休んで近くのスーパーのアルバイトに行った。


『寂しいなぁ……』


ぽつりとそうつぶやく私の目の前を、桜がひらひらと舞い落ちていく。


ふと足を止めて頭上を見上げると、左手側に一本、太い桜の木がたっていた。


幹は、私が両手を広げても抱きつけないくらい太いのに、ひらひらと舞い降りる桜の花びらたちはなんだかとても切なくみえて。


『……一緒だね』


私は微笑んで、桜の木にそう言った。


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