告死天使

―2000年11月

―2000年・11月。
街路樹はすっかり色づき、落ちた葉が舗道を埋めていた。

枯葉を蹴りながら、俺は病院への道を歩いていた。

今日は俺一人――行こうと誘ったのは奴だったが、風邪気味だとキャンセルした。
抵抗力の落ちている彼女に伝染〈うつ〉すわけにはいかないから、と。

…受験勉強は、上手くいってない。

突然勉強したって身に付かないのは、去年のことで分かってたはずなのに。

でも、諦めるわけにはいかなかった。

治療の成否に彼女の命が懸かっているように、俺も合否に命を懸ける――そのぐらいの気持ちだった。
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