“I’m in your corner.”
“I’m in your corner.”
毎朝、君は誰よりも早く出社して給湯室へやって来る。

まずはポットをセットして、お湯が沸くのを待つあいだに洗い物を片付ける。

シンクには、帰りがけに誰かが置きっぱなしにしていった前の日のカップたちが、君が洗ってくれるのを待っている。

まったく、みんながちゃんと自分のものは自分で洗えば、君がやることないのにさ。

まあもっとも、君はそんなことちっとも気にしてないようだけど。

清潔な布巾で(これも君のおかげだね)、洗い終えたカップたちを手際よく拭きあげて、ピカピカになったそれらを丁寧に棚にしまっていく君は、なんだかとても楽しそう。

僕はその理由(わけ)を知っている。だってもう毎朝のことだから。

あ、そろそろ時間かな――?

「おはよう」

「おはようございますっ」

君の“元気の素”がやって来たようだね。

「本当にいつも早いな」

「課長こそ……。あ、コーヒーでよろしいですか?」

「ありがとう。いただくよ」

「はいっ」

うん、今朝もとびきりの笑顔だね。

ちょっと妬けちゃうな、なんて思わなくもないけど……まあいいさ。

仲良く並べられた二つのカップに、熱いコーヒーが注がれる。

僕は幸せで満たされて、心がぽかぽか温まる。

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