史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「説明するまでもないけど、改札とつながるのが3階だから実質的なグランドフロアは3階と考えていいと思う。

となるとこのあたりのブランドは3階に配置するのが基本なんだけど・・・
佐倉はどう思う?」

霧島さんは机上の施設図面から私の方へと視線を移した。

私は平面の図面を頭の中で立体的にイメージし直しながら、考える。

そして霧島さんにそれを説明する。


「確かに人通りという点では3階なんでしょうけど、構造上ただの通勤経路として素通りしちゃう人も多いですよね。

そういう人は高価格帯のアパレルには入店しないと思うので、せっかくの人通りの多さがもったいないですね」


「俺もそう思う。 そうすると、3階はもっと衝動買いを誘うような話題性のある店がベストかな」

「ですね。話題性があって、ブランド力もあって、洋服よりは雑貨とかスイーツとかが合う気がします」

「あぁ、なるほど」

霧島さんは候補ブランドリストの洗い出しをはじめたようだったので、 私はリスト外の新しいブランドを探すためにインターネットを開いた。


課長から担当発表があった後で霧島さんから今後のスケジュールに関して話しておきたいと言われ、第一回夢見ヶ丘テラス担当打ち合わせがキックオフとなった。

終業時刻はとうに過ぎているけれど、私には断る権限なんてあるはずもなく・・


アシスタントの二人はいわゆる一般事務職というやつで社のルール上、あまり残業はできないため、差し当たってメンバーは霧島さんと私だけ。

今後、重要な議題を決める時には部長と課長が同席することになるだろう。
< 4 / 72 >

この作品をシェア

pagetop