史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「俺も面白かったよ、お前と組めて」

霧島さんとコンビなのは今日が最後だ。
私はこのまま夢見ヶ丘テラス担当として、しばらくは現地勤務。

霧島さんはまた別のプロジェクトの立ち上げメンバーとして異動が決まっていた。


顔を見るのが辛いなんて悩みも今日でおしまい。


開業セレモニーが終わると一般客が一斉に入店して、対応に追われた。

お客様はもちろん、従業員だってまだ不慣れだ。 道案内からレジトラブルまで数々の事件がひっきりなしにやってくる。



霧島さんと一緒に仕事する最後の日・・
なんて感慨に浸る暇もなく、あっという間に閉店時刻を迎えた。


皆で打ち上げに行けたらいいねなんて言ってたけど、閉店後も残務が山積みで夜食のおにぎり片手にPCと睨めっこだ。


「佐倉、アリスローザの売上あるか?」

「はい、こっちに。 対予算122%です」

「サンキュ。予算割れしてんのは、12店舗で間違いないかチェックしてくれ」


「了解です」


「佐倉さーん、ヘブンズカフェの店長からお電話ですけど」

「はーい、出ます」

息つく間もないとは今日のことを言うんだろう。
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