史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
言いたい言葉は山ほどあるのに言葉にできなくて、私は抱きしめることで必死に伝えようとした。


「大丈夫、大丈夫です」

「・・・・」

「・・伝わりましたか?」

「お前の言いたいことは何となくわかった」


ーーありがとな。

霧島さんは幼い子供にするように私の頭を撫でると、柔らかい笑みを浮かべた。


私じゃなくていい。


私じゃなくていいから、いつか霧島さんが心から愛し合える人と出逢えますように・・・


霧島さんの後ろ姿を見送りながら、強く、強く、そう願った。





それからしばらくの間、私は夢見ヶ丘テラスと病院を往復する忙しい毎日で霧島さんと会うことは一度も無かった。

母は後遺症を残すことなく順調に回復していった。仲良し親子になれたわけではもちろん無いけど、初めて本音で話をすることが出来たように思う。
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