史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「あ、嶋さん。 ありがとうござい・・」

もしかしたら私は彼女を傷つけて、幸せを奪ったのかも知れない。

そう思うと、彼女の顔を直視できなかった。


「あら？ もしかして私、嫌われてる！？」


「あっ、あー！！ ごめんなさい！！」

隣の森口さんが唐突に叫んだ。

「佐倉さん、私が前に話した霧島さんと嶋さんの噂、デマだったんですよ！
佐倉さんに訂正するのすっかり忘れてたー」





「あのねぇ、朝一緒に通勤したことがあるのは本当なのよ。 私、霧島さんと同じ沿線で、たまに電車が一緒になることがあって。

あの頃は夢見ヶ丘テラスで忙しかったじゃない？ つい仕事の話をはじめちゃって、そのまま会社まで一緒に歩いてたところを誰かが見てたみたいなのよ」



「考えてみたら、会社の最寄駅で同僚と一緒にいたってどこもおかしいことないですよね〜」

森口さんの言葉に嶋さんもうなづく。

「そうよねぇ。 他の人なら妙な誤解されたりしないんでしょうけど・・」


「「霧島さんが無駄に色っぽいのが悪いんですよね〜」」

二人の声が重なる。

夫が理不尽な理由で責められているにも関わらず、私は何も言い返せなかった。


END
< 69 / 72 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop