七色の空
チャプター18
「唯一の冒険つづき1」
朝の通勤ラッシュが嫌になれば会社を辞めてしまえばいい。通勤電車で痴漢にあうのが嫌ならブスになればいい。痴漢にあうだけ、私は幸せ。男を欲情させることもできなくなれば、女として私は終わる。林檎の持論だ。
人間は二面性をもっている。林檎はそれを受け入れて生きている。自分の二面性についてあれこれ考えることもない。痴漢に対して、道徳的な怒りを感じることはないが、気に入らなかった。痴漢をした男が自分だけ刺激的な時間を味わい、自分はさほど感情を揺さぶられることなく、刺激を受けた性器が心とは無関係に濡れたから。
林檎は男のあとをつけ、男に教えなければならないコトがある。
「アンタのしたことは、犯罪だとゆ〜以前にくだらない。私はアンタみたいな奴の為にAV女優になるんじゃない。私の体に触りたいなら正々堂々金払え」
理解できない理屈である。サンマさんなら「何いってるの?」とツッコミ、今日の説教部屋の発表である。福生はこの女の何に惚れたのか?少なくとも、福生が人生最期に愛した女性の名は、峯岸林檎、そのヒトである。
林檎は男のあとをつけ、オフィスビルに乗り込んだ。
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