癒しのひと時をキミに。【ぎじプリ企画】
見てくれてるのはアナタだけ。


「あれ?今日は少し遅かったんじゃない?上司に怒られるよ」




私の姿が見えるなり、時計を確認した彼。



私より小さい彼だが、ベテランであり、頼れる先輩だ。




「うるさいですね。私だって仕事で忙しいんです」




私は入社一年目の新入社員。



入社から半年、努力の甲斐あって、重要な仕事を任された。



いわば初仕事だ。



つい気合が入ってしまい、今日は予定の時間を30分ほどオーバーしてしまった。



たしかにそれは自分でも悪いとは思っている。



でも、この大変さを知らない彼には何も言われたくない。




「仕事もらえたんだね。おめでとう。仕事がこれしかないキミを心配していたんだよ」




そんな彼に「余計なお節介よ」と思いながら、何もしない彼の隣でせっせと働く。




「えっと……部長はこれで、課長はこれ。それと、」




半年もすれば覚えてくる社員の好み。



飲み込みが遅い私は、覚えるのにも時間を費やした。



私は効率が悪いのだ。



だから、人一倍努力が必要だった。


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