幼馴染みの期限
「あー、分かった分かった。分かったから、急に起きんな。まだ頭が痛むんだろ?……ほら、これでも飲んどけ」


ぽんぽん、と落ち着かせるようにまた私の頭を撫でて、広海は自分のボディバッグのポケットから薬を取り出した。


ぺちゃんこになっていたバッグを見て、さっき横にされた時に枕の代わりに頭に差し込まれたのはこれだったのかー……とぼんやりと思う。


付き合う前だったら、私が酔って横になろうが才加に寄りかかろうが、声も掛けずに無視していたはずだ。


やっぱり、彼氏になった広海は、ハイでミルクで甘さ五割増し(当社比)だと思う。



「……用意がいいね」



そんな丁寧な扱いが恥ずかしくて『ありがとう』とも言えず、視線すら合わせられずに、ただ薬を受け取ってゴクゴクと飲んでいる自分は、なんて可愛くないんだろうって自分で自分に呆れてしまう。



「酒癖が悪いヤツと付き合ってると色々と用意が良くなるもんだろ。さ、そろそろ行くぞ」



付き合う前からずっと広海には『お前って、ほんと酒癖悪いな』って言われ続けてきた。


友達 " 付き合い " の中で薬なんてくれた事あったっけ?という疑問を顔に張り付けた私を見透かしたように、広海はニヤリと意地悪く笑った。


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