幼馴染みの期限

「呆けてんじゃねぇよ。で?いたのか?どーなんだ?」


「いっ……」

「ん?」


「いますん」


あっ、噛んだ。


派手に言葉尻を噛んだ私を見て、広海はフッと口の端だけ上げて、バカにしたように笑った。


「何だよ『いますん』って。いますなのか、いませんなのか、どっちなんだよ」


ついさっきまで微妙な空気になっていたはずなのに、私の派手噛み一発であっさりといつもの私達に戻ってしまった。


それから散々『いますん』を広海に馬鹿にされて、来たときよりも数倍イライラした気持ちで私は広海の部屋を後にした。


だから、結局街コンで向井くんに会ったということを広海には教えてやらなかった。



さっき私が派手に吹き飛ばしてしまった空気は……今までの私達とは違って若干甘さが混じっていたような気がしないでもなかったのだけれど……


それも苛立ちの気持ちの中にうまーく押し込められてしまった。


そして、広海にさっき感じた奇妙な感情も、暫く私の中から取り出されることは無かった。
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