【完】最初は、それだけだったのに。


絵麻がニヤニヤしながら語り始める。


まぁ、これもいつものこと。


語り始めると止まらない絵麻を放っておいて、私は再び彼の観察を始めた。




全く微動だにしない。


頬杖の体勢って意外ときつくない?


手がつりそうになるし、肘痛いし。




「…文香!あんたって子は私の話を無視して愛しの青山に見惚れてるのかな?」


「だって絵麻の話長いもん。ついていけなーい。それとそんなんじゃないっていつも言ってるでしょ!」


「またまた〜。照れちゃって!」




茶化してくる絵麻にうるさいと言うとチャイムがなった。


するとバイバイと言って絵麻は自分の席に戻って行った。


彼を見ると既にイヤホンはしまっていて、授業を受ける体勢でいた。


授業は真面目に受けているもんなー、と思いながら私は号令に合わせて席を立った。






< 6 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop