不器用な彼が隠した2文字




「いいじゃない、デートしたいって言えば」



「…おめでとうって、言ってほしい」


「誕生日だって言ったら?」



「忘れてたって言われたら泣きそう…」




落ち込む私に、まだ笑っている紫乃。

笑い事じゃないんだってば!




「有紗って変なところで臆病よね」


「えー?」


「…ま、忘れてるわけないと思うけど」




最後の言葉は、小さく呟いただけだからよく聞こえなかった。

聞き返しても、なんでもない、ってまた笑う紫乃は、面白がってるようにしか思えない!




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