フテキな片想い


「何だよ、目つき悪い族って。井岡のヤロー、ふざけやがって……」


「でも真央にそっくりだよ。マオニャン。でも、びっくりだよね?井岡くんが、絵上手いなんてさー、中学の頃は漫画家目指して、本気で雑誌とかに投稿してたっぽいよ。見て、僕のキャラ「セヤさん」、結構、特徴を掴んでるよね」


アハハと笑いながら、今度は違うプレートを掲げる。


「セヤさん」と描かれた狛犬をもじったキャラクター。


いつもニコニコしている星夜に確かに似ている。


健全な高一男子が、二人揃って、放課後に何をしているんだか。


冷静に考えると虚しくなって来る。別に遊んでいる訳ではない。俺たちは至って本気だ。


むしろ、約三週間後に迫って来ている文化祭のための役割り分担だ。


『入場特典である妖怪メダルを作る』が、星夜と俺に与えられた役割りだった。


坂下高校、一年A組の文化祭の研究発表は、「坂下高校界隈の妖怪と都市伝説について」だ。


役割り分担はくじ引きで決められたが、調べる係りになった奴らは、連日図書室に通って大変そうだった。


そいつらよりは、楽そうな係りで良かったとくじ運の強さに感謝した。


「牛乳瓶の蓋で作るんじゃ、さすがに衛生面で不安だからさ。牛乳って乾くと雑巾の匂いするし、プラチャームで作るのはどうかな?シートだったら、百円ショップで買えるし」


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