フテキな片想い
美雨@バイト始めました♪


「プシッ!」


箒で教室の床を掃いていると、背後で芽衣子(めいこ)の特徴的なくしゃみが聞こえた。


黒板をキレイにしていたはずの芽衣子は、黒板消しを右手にそのまま「プシッ」「プシッ」と続けてくしゃみをした。


「大丈夫?風邪?」


少し涙目になりながら、鼻を啜る芽衣子に訊ねると、彼女は首を振った。


「ちょっとチョークの粉を、吸い込んじゃったみたい。それとも、私のことを好きなまだ見ぬ王子様が、噂をしてるのかな?キャー、そうだったらどうしよう?」


彼女はそう言って、黒板消しを持った手のまま、両頬に手を添え、くるりとスカートを翻して、回った。


鼻歌混じりで、黒板消しを上下に動かしている。


相変わらずの芽衣子ワールド全開だと微笑ましい気持ちで、その後姿と揺れるツインテールを眺める。




「美雨は今日はバイトだっけ?」


「うん。このまま向かうつもり」


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